ナカノ実験室

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感想・書評「さよなら、田中さん」 鈴木るりか・著・ネタバレ注意「主人公である小学6年生、田中花実ちゃん」(レビュー)。 #読書


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中学生作家誕生という話題性に惹かれて手に取ったのですが、子どもが書いた作品だという先入観を持たずに読んでみたかった、と少し後悔しました。作者の年齢を加味せずとも見事な構成と文章力で、たくさん笑ってたくさん泣かされました。
主人公である小学6年生、田中花実ちゃん。父親を知らず貧乏な生活なのですが、とにかく底抜けに明るい男勝りのお母さんと二人三脚で日々を生きているのに、とても胸打たれます。まだまだ子どもながらも花実ちゃんは実に周囲をよく見ていて、12歳といえどもその観察眼は侮れませんね。女の子は特に早熟なのかもしれませんが、自分が花実ちゃんくらいの年だった頃もけっこうこんな風に冷静な目で世界を見ていたなぁ、ということを思い出しました。
そして、ユーモアのセンスも素晴らしいです。スマホを持つことについて花実ちゃんのお母さんが言い放ったセリフには、お腹を抱えて大爆笑しました。花実ちゃんのクラスメイトの男の子目線で描かれた5編目はハッとさせられるシーンが多く、強く生きることについて考えさせられた一冊でした。この作家さんの今後の成長がとても楽しみです。