ナカノ実験室

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感想・書評・豆の上で眠る(湊かなえ):本当の家族ってなんだろう・ネタバレ注意「羽根布団の下に置かれた、たった1粒の小さなえんどう豆」(レビュー)。 #読書


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「告白」や「贖罪」で有名な、湊かなえ先生のお話。
たくさんの羽根布団の下に置かれた、たった1粒の小さなえんどう豆。普通の人ならまったく気づかないようなそのちっぽけな豆のせいで、本物のお姫様は寝られないと言います。
そんな古い童話をモチーフに、話は進みます。
ある女の子がある日突然、行方不明になりますが、しばらくして戻ってきます。何事もなかったかのように戻る日常の中で、その妹だけが違和感を感じ続けます。何かおかしい。戻って来たのは本当の姉なのか。まるであの童話の豆のように、あるかないか微妙なほど小さな違和感を、あのお姫様のように、妹ははっきり感じます。
お父さんもお母さんも、あれはお姉ちゃんだと言うけれど、絶対に偽物だ。なぜ偽物が?本物はどこに?多くの謎がストーリー全体を覆い、湊かなえ作品独特の重苦しい雰囲気が漂いますが、大切な本物の姉を、1人必死に探し求める妹に、どこか温かい気持ちにもなります。目に見えないけれど、誰にも説明できないけれど、確かにある家族の絆。容姿や声、記憶、そういったものに惑わされない、姉妹だけの繋がり。
がしかし、最後の最後ですべての真相が明らかになった時、心臓をギュッと掴まれたような、恐ろしさに襲われます。本当の家族とは何なのか、自分にとっての家族とは何なのか。考えずにはいられなくなるでしょう。