ナカノ実験室

ナカノ実験室が行う実験的なブログです。

スポンサーリンク

感想・書評『マグダラのマリア:岡田温司』ネタバレ注意「筆者が説明する絵画は必ず図版が掲載されている」(レビュー)。 #読書


【おすすめ情報】知らない人は損している!「アマゾン業務用ストア」で便利でお安く。

時代ごとに変わるマグダラ:『マグダラのマリア』(岡田温司)

美術館巡りが趣味の人であれば、誰もが一度はマグダラのマリアを描いた絵画を見たことがあるでしょう。かつて娼婦でありながら、キリストの復活に立ち会うのを許されただけでなく、「罪深き聖女」といった矛盾した愛称で呼ばれるマグダラのマリアは多くの画家の手によって題材にされてきました。

『マグダラのマリア』はヨーロッパ美術史の中で、マグダラのマリアがどのように描かれてきたのかを豊富な図版とともに明らかにした快著です。美術は言葉で説明されても、実物を見ないと十分に理解できない部分があります。本書では筆者が説明する絵画は必ず図版が掲載されているため、筆者の指摘と絵画を見比べながら理解できます。こういう本は新書ではありそうでなかったのです。さらに、この本を読めばマグダラのマリアが時代ごと・作家ごとに多様な描かれ方をされてきたことが如実に分かります。私たちの時代にマグダラのマリアはどんな姿で現れるのか。ワクワクする気持ちを起こさせる1冊でした。