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感想・書評『遠き潮騒 風の市兵衛(19)辻堂魁著』ネタバレ注意「リアルな描写が魅力です」(レビュー)。 #読書


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「遠き潮騒 風の市兵衛(19)」辻堂魁著、リアルな描写が魅力です

「風の市兵衛」シリーズの第19巻です。今回の舞台は銚子湊です。
江戸で実直な商人が殺され、一方で弥陀ノ介の失踪していた友が姿を現す。事件の真相をさぐるために、町廻り同心の渋井は銚子へ向かう。ほぼ同時に弥陀ノ介と市兵衛も銚子へ向かう。そこには抜け荷の陰謀が渦巻いていた。
……というお話です。
話の進行自体は時代劇によくあるパターンかもしれません。それでも本書は魅力的です。三つ書きます。
魅力の一つ目は、リアルな情景描写です。江戸時代の物事の仕組みについて詳しく書かれた時代小説は多いです。しかし、本書のように、実際に目で見ているかのようにリアルに江戸の情景を描写している時代小説はまれではないでしょうか。
魅力の二つ目は、武士の生きざま、人間の生きざまが、これも非常にリアルに、立体的に描かれているということです。たとえば、失踪した友が現れたと知って、その親が子を殺さねばならないと思う。それを知った弥陀ノ介は、自分がかわりに友を殺さねばと決意を秘める。というシーンがあります。苦悩する弥陀ノ介には惹かれるものがあります。
魅力の最後は、壮絶な殺陣のシーンです。主人公がかっこいいだけではありません。悪役もまた、斬られるにあたってそれなりの見せ場を用意されているのです。
以上、「遠き潮騒」の紹介でした。