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感想・書評・又吉直樹が描く恋愛小説『劇場』ネタバレ注意「演劇を作り出す永田とその恋人の沙希の恋愛物語」(レビュー)。 #読書


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『火花』で芥川賞受賞、大ベストセラーとなり、一躍時の人となった芸人ピース又吉直樹さんの第2作目である『劇場』は恋愛小説とのことで楽しみにしながら読みました。いい意味で文芸作品だな、と感じました。

演劇を作り出す永田とその恋人の沙希の恋愛物語なのですが、演劇論を劇団員とぶつけあい、演劇への深いこだわりを見せる、不器用な生き方しかできない永田がとても文芸っぽいキャラクターだなと感じたんです。『火花』では主人公が芸人だったので、読みやすい印象でしたが、演劇という、それもちょっと個性的なこだわりを持って演劇に向き合う男の描き方が独特だなと感じました。

そんな不器用な男を愛し、支え、明るく振る舞う恋人の沙希ですが、段々と彼女が変化していき、元気がなくなる様子は読んでいて心苦しいとともに切ない思いがしました。周囲に別れろと言われていても別れない沙希、そしてどうしようもできない永田のことも理解できました。又吉さんはどんな恋愛小説を書くんだろうと思ったけれど、やはり甘いのではなくほろ苦い、あくまで不器用で純粋な魂がそこにはあった…そう感じました。