その題名のキャッチ―さで手に取った本です。その前に同じ著者の「あなたの脳のしつけかた」も読んでいたので、その流れで読みました。
基本的には日本人の努力礼賛の文化に警鐘を鳴らしている、という内容に感じられました。努力すれば報われるという、古めかしいですが、どこかでみんなが信じている発想に、ちょっと待てよ!?その言葉に嘘はないか?というのを脳科学的な目線から食い込んでいっています。著者は、努力は報われる、けれども、遺伝で決まっているところは、どうしようもないことがあるんだよ、というタブー視しがちな面にきっちり触れているところが面白いです。分かっていたけど、あまり触れたくないところですが。身体能力は見目に見えて分かりやすいのですが、脳内は見えないので、どことなくグレーゾーンにしてしまいがちです。でも、脳のつくりもやっぱり遺伝子からは逃れられないよう。
日本人は脳内のセロトニントランスポーターが少なく、いったん放出してしまった幸せホルモンのセロトニンの再取り込みがしづらいので、心配性の人が多いなどなどの情報もあるので、なるほど、と思いました。心配だから努力するのでしょうか。
努力している、と意識するとその他の部分では、自分を甘やかす、というところにも触れています。例えばダイエットで「今日は食べなくて良かった」とか「今日は身体によいものを食べてよかった」と認知している人は、倫理的に危険なことをする可能性が高いという研究も紹介されてました。自分はこれだけ正しいことをしたんだから、本来我慢しなければならないことも、許されると認識してしまうとか。本当なんでしょうか?だとすると、ダイエッターは恐ろしい存在になるのですが……。でも、人間は我慢する量が限られている、というのはなんとなく理解できる気もします。
脳科学の視点の読み物は新鮮で、面白かったです。