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感想/書評&あらすじ「ダーバヴィル家のテス」巨匠トマス・ハーディの代表作にして古典です…ネタバレ注意。


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※こちらの記事は、在宅ワークで寄稿を募集した小説感想記事です。

英文学の巨匠トマス・ハーディの代表作にして古典です。
美貌のテスは極貧の農家の娘。ひょんなことから父親が自分は、ひいては一家は貴族の末裔だと知る。そして親戚らしきお屋敷にテスは奉公に出ることに。そこへいたのが遊び人”従兄”アレク。一目でテスの雛には稀な美貌と豊満な肉体の虜になってしまう。そこからテスの悲劇は始まり、過酷な運命に翻弄される。

ロマン・ポランスキー監督、ナスターシャ・キンスキー主演で映画化されています。ナスターシャの美しさが存分に活かされた名作らしいです。 

テスの美しさは、主に牧師の息子にして農場経営者を目指す精神主義者の青年・エンジェルの目を通して描写されます。それに田園風景の描写が比類なく美しい本作。緑したたる田舎の牧場。その中で乳搾りに勤しむ牧歌的な姿のテスの美しさは清純そのものです。

にしても、テスの人生は過酷すぎます。美人ゆえといった面もありますが、極貧で無知な両親からの被害が大きすぎ。心優しい長女テスは割をくってばかり。ふがいない上に一家は子沢山。小さな弟妹たちを庇護し養護する責任を、”名家の総領娘”テスは一手に担うのです。いっそテスがそれら一切合切を断ち切れたなら、もっと違ったでしょうに。現代ならフェミニストたちが「自分を大切に」と擁護してくれるでしょうが、この時代はそうはいかないのですね。ストーカー男・アレクはテスを「肉体の悪魔」的に呼ばわり半ば逆切れ。世間から白い眼で見られるのは女性であるテスの方です。

ただ、唯一テスが自分を貫いたのがエンジェルとの愛。ですがエンジェルは現代でいう「自分探し」男。理想ばかり追い求めてふらふら定まらずテスの現実の苦境を慮ってやれない。にも関わらずテスが彼を愛しぬくのは、その瞳に映る自分を愛しているのでしょうか。エンジェルだけがテスの清純さやその心優しさを高く評価し愛した。本当の自分を理解してくれたわけなんですね。