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少女地獄 夢野久作傑作集(作者:夢野久作):名前しか知らなかった文豪の作品を初めて読んでみて。ネタバレ注意「入門書として紹介されていたこの傑作選でした」(レビュー)。 #読書


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恥ずかしながらあまり本を読む人間ではなく、夢野久作という有名な小説家の名前を知ったのも、暇つぶしに読める本をネット上で探していた時のことでした。
そこでは探偵小説かと評されていた夢野久作という作家の作品に興味を持ち、本屋で書籍を購入したのが夢野久作の入門書として紹介されていたこの傑作選でした。
この書籍は過去に発表された作品をえりすぐってまとめ上げたもので、4編の作品が並んでいるのですが、そのページ数は大きな差が開いています。
最も短いページ数の作品が『瓶詰の地獄』。短い文であるのに、作中の登場人物の『地獄』が伝わってくる、上質な作品のように思いました。タイトルから外れることなく、最後まで読み、「ああ、これは瓶詰の地獄だろう」と納得できるような作品でした。
なにか不思議があり、それをほどいていくというのが推理小説だというのなら、これは間違いなく推理小説です。他3作品も良質な文たちでしたが、ただ、探偵役がいて犯人がいる、といったわかりやす構図ではなく起きた事件について淡々と一人称で明かしていく、といった独特の世界はもしかしてそういったジャンルに組み込まれないかもしれません。あまり詳しくないので、それは読んだ方の判断にお任せします。
夏目漱石や太宰治、江戸川乱歩程メジャーな文豪の作品ではありませんが、その一人称で話を結びあげていく技量は、間違いなく文豪と呼べるものでした。読みなれないため、文体が読みづらいという事を差し引いても記憶に残り、答えを知った上でまた読みたいと思わせる素晴らしい文章です。
まだ入り口に踏み込んだだけのニワカのファンですが、作者の他の作品を読みたいと思わせる独特の世界でした。ぜひまだ未読の作品も手に取りたいと思います。