小説
「極卵」仙川環 読み出したら止まらない一冊です 初めて読む作家さんでした。舞台は東京都の吉祥寺です。住みたい街ナンバーワンにも輝いたことのある人気の住宅地です。無農薬や有機栽培の野菜などを売る自然食品の店で、一個250円の高級卵「極卵」が売…
【葬儀の日】【松浦理英子】才能について 松浦理英子著、「葬儀の日」を読んだのだけど、一行目からその文章の魅力に惹かれていた。 文学的な文章に感じられながらも、その意味が捉えられ辛さが、魅力になっている。なき女と笑い女、二人に他者が仕事の時だ…
円城塔「道化師の蝶」戯れの未来文学 円城塔と云えば、シュルレアリズムをSFや文学とつなげて現代に蘇らせた、文学の錬金術師の観がある。 その円城塔は伊藤計劃が残した原作をもとに正統派ヴァンパイア小説「屍者の帝国」を描いたりしている。一方芥川賞を…
「壺中の回廊」 松井今朝子・著 歌舞伎役者が殺される。 昭和5年の歌舞伎座で、「忠臣蔵」の上演中に、花形役者が、毒殺されます。好物のどら焼きの中に、毒が仕込んでありました。
「ヒトリシズカ」 誉田哲也・著 男が拳銃で撃たれて死亡します。司法解剖した法医学者から、心臓に達していた弾丸は、一度止まってから、また動いたと報告が来ます。いったいそれは?どういうことなのか?・・始めから、大きな「謎」が、立ちふさがります。…
「仮面の君に告ぐ」 横関大・著 主人公の涌井和沙が病院のベッドで目を覚ますと、森千鶴という赤の他人になっていたというところから物語は始まります。自分は一年前に殺人事件の被害者となっていたことが明らかになり、ショックを受ける和沙。恋人だった慎…
「銀二貫」 高田郁・著 「仇討ち」を買い取った話です。 寒天問屋の主人が、目の前で起きた「仇討ち」を、止めに入り「銀二貫」で、買い取ります。その時の残された子を、引き取ることになります。侍の子ですが、辛抱の出来る子で、店を背負っていくほどに成…
佐々木護 題名は真夏の雷管は大変面白かった やはり札幌に大通警察署が舞台の警察モノ。面白い、最後まではらはらさせてくれて、さすが佐々木譲です。この人の警察モノには、単に警察組織の歪な部分だけでなく、人間の機微や弱さをうまく描いてくれます。 さ…
佐々木嬢 代官山コールドケースは面白い刑事ものでした この本は17年前に一旦解決した事件、犯人は自殺して解決済みに終わってしまった事件ですが、実は真犯人が別にいるのではないかと思われる事案が発生し非公式に事件の再捜査を依頼された二人の刑事が真…
風のマジム 原田マハ 派遣社員から女社長へ。 沖縄に住む若い女性のまじむさん。沖縄産のラム酒を作りたいという熱望のもと、色んな困難を乗り越えながら、沖縄県産のラム酒を作るというお話です。最初は、しがない派遣社員でしたが、まじむの祖母(おばぁ)…
「ダークルーム」 近藤史恵・著 ミステリー短編集 「近藤史恵」は、とても多才な作家です。いろいろな種類のミステリーを書いています。軽いミステリーの「女清掃人探偵・キリコ」シリーズ、時代小説「猿若町捕物」シリーズ、「ビストロ」シリーズ等・・本格…
今村昌弘(いまむらまさひろ) 屍人荘の殺人 普段からよく本を読むのですが、ミステリー物には目がないので注目作と言われると読まずにいられません。この「屍人荘の殺人」はミステリー注目作のランキングで一位になっていたので、先日時間の空いた時に一晩…
私の家では何も起こらない(著:恩田陸)美しい雰囲気のホラー すごく不気味で怖いけど引き付けられる本でした。 スプラッタや、幽霊が怖いというか後ろからそーっと迫ってくるようなじわじわとした怖さです。 雰囲気的には世にも奇妙な物語のような感じでしょ…
「リリエンタールの末裔」 上田早夕里・著 SF短編作品集です。短編が4作載っていますので、読みやすいです。時代の設定が、ず~っと未来やら、ちょっと未来、あるいは歴史の流れが違う世界などになっています。それをわかっていて読めば、SFだから難し…
とんでもスキルで異世界放浪メシ 1 赤岸K 最近はやりの異世界召喚もの。 召喚されたものの勇者ではなかった普通のサラリーマンの主人公。
「アナログ」 ビートたけし・著 ビートたけしさんと言えば、体を張ったコントや「HANA―BI」などの暴力的な描写が衝撃だった映画のイメージが強くあります。そんなたけしさんが恋愛小説を出版したと知り、とても気になって手に取ってみた一冊です。
「あしながおじさん」 ジーン・ウェブスター・著 子供の頃に何度も繰り返し読んで大好きだった「あしながおじさん」ですが、大人になり記憶も薄れてきて、ふとどんな内容だったか気になって無性に読み返したくなり手に取りました。
クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い これを二十歳が書いたとは テレビアニメ化もした「化物語」や「めだかボックス」などの原作者として有名な西尾維新のデビュー作。実力派であり多産家でもある作家が、二十歳で講談社のメフィスト賞を取った時の作品…
犬物語 ジャック・ロンドン著・柴田元幸訳・秀でた邦訳の名作フルコースです。 戌年に犬の話を読むのも悪くないですね。そう思ってタイトルを見て手に取ってみたら「柴田元幸翻訳叢書」となっている。氏は翻訳家としての読者を持つ数少ない一人です。
新東京駅殺人事件 西村京太郎 西村京太郎にしては変わった作風だった 発行自体は、だいぶ前ですが、最近買いました。東京駅が新しくなったことで書かれた作品です。ステーションホテルがよく出てきます。今作品では、殺人事件は、あまり重要ではありません。…
タイトル「裏世界ピクニック」 宮沢伊織 "くねくね""八尺様"が出現する、裏世界。 私はホラーが苦手です。ですので、そのあらすじの一文を見ただけでは読むのをやめようと思ったかもしれません。ですが、ここに「ピクニック」という明るい言葉。表紙を飾る綺…
「203号室」 加門七海・著 これはとても怖い!ホラーです。 「加門七海」の小説は、怖い話が多いのですが、この小説は出色のホラーです。一人では読みたくないほどの怖さです。大学に合格し、念願の一人暮らしを始めた女子大学生が主人公です。 「この部…
「暗い宿」 有栖川有栖・著 ミステリー作品短編集 推理作家「有栖川有栖」と、臨床犯罪学者「火村英生」の活躍するミステリーの短編集です。 それぞれに面白い作品が収録されていますが「ホテル・ラフレシア」という作品では、ホテルで開催される「トロピカ…
ショートショートBAR、田丸雅智、1話5分で読める 田丸雅智さんな不思議が詰まっている短編小説です。 1話5分程度で読めるので、通勤途中や友人との待ち合わせの待ち時間など、ちょっとした隙間読書に最適です。もちろん、1話1話違うお話なんですが、出てくる…
キノの旅 作者名は時雨沢 恵一(しぐさわけんいち)大人の世界と子どもの世界を旅をする 主人公キノとバイクのエルメスに乗って旅をする話。 子どもから見て大人たちの考えや行動が理解出来ない世の中の矛盾にキノは気づく。
和菓子のアン 坂木司(さかきつかさ) やや太め女子がデパ地下の和菓子屋でバイトしたら タイトルを見た瞬間、あれと思われたでしょう。私も本を手に取った時に思わず二度見しました。この小説の主人公は梅本杏子、和菓子屋の同僚から親しみを込めてアンちゃん…
「翳りゆく夏」 赤井三尋・著 第49回江戸川乱歩賞受賞作 誘拐犯の娘が、新聞社の記者に内定したことによって、20年前の誘拐事件に、また光が当てられ、事件の本当の真相があぶりだされてきます。
ズッコケ中年三人組それいけズッコケ40歳(那須正幹) あの三人組の続編! 小学5年から6年くらいのころ、ズッコケ三人組シリーズを読んでいました。 読まなくなってからもシリーズはずっと続いていて、その続編もあることも知っていましたがそれを読むのは初…
畠中恵の「なりたい」がやっぱり面白い 江戸の日本橋を舞台に繰り広げられる「しゃばけ」シリーズは、日本橋の廻船問屋兼薬種問屋の若旦那一太郎と妖達の物語です。毎作、何かしらの事件がおき、それに対する若旦那一太郎の推理の展開と愛すべき妖達の活躍が…
「そして誰もいなくなる」 今邑彩・著 これは本当に怖い話です。ミステリーホラーの名手、「今邑彩」の著作は、みな怖いですが、これはその筆頭作と言っても良いでしょう。